愛は惜しみなく与う【番外編】
「お友達の女の子。あの子お名前なんて言うの?」
「杏だよ。金髪のやつだろ?」
「そう。杏ちゃんって言うのね。朔の彼女?」
「ちがうよ。杏は泉の彼女だよ。あ、泉ってのは……」
話してないことばかりだ
そして聞いてほしいことばかりだ
「杏ちゃんに言われたの。逃げるなって。朔の全部を受け止めろって言われた。朔の母親だって胸を張って言いたいなら…ちゃんと朔の話を全部聞いて、悲しいことも辛いことも楽しかったことも全部…受け止めろって。
沢山のこと乗り越えたんだね。あの子が……いろいろな経験をした朔だから、今よく笑う子になったんだって……教えてくれたの」
……ばか
杏のばか
やめろよ、ほんと
「朔?」
「杏の言う通りだよ」
素直に話せる気がする
「俺すげぇしんどかった。お母さんがいなくなって…クソ親父にごみみたいな扱いされた。後から来た女と子供にも、罵られて痛めつけられて、毎日死にたかったよ。ほんと、しんどかった」
杏は……俺が素直に話せるように
お母さんが…俺を受け止める準備ができるように
先に、気持ちを届けてくれたんだな
「杏だよ。金髪のやつだろ?」
「そう。杏ちゃんって言うのね。朔の彼女?」
「ちがうよ。杏は泉の彼女だよ。あ、泉ってのは……」
話してないことばかりだ
そして聞いてほしいことばかりだ
「杏ちゃんに言われたの。逃げるなって。朔の全部を受け止めろって言われた。朔の母親だって胸を張って言いたいなら…ちゃんと朔の話を全部聞いて、悲しいことも辛いことも楽しかったことも全部…受け止めろって。
沢山のこと乗り越えたんだね。あの子が……いろいろな経験をした朔だから、今よく笑う子になったんだって……教えてくれたの」
……ばか
杏のばか
やめろよ、ほんと
「朔?」
「杏の言う通りだよ」
素直に話せる気がする
「俺すげぇしんどかった。お母さんがいなくなって…クソ親父にごみみたいな扱いされた。後から来た女と子供にも、罵られて痛めつけられて、毎日死にたかったよ。ほんと、しんどかった」
杏は……俺が素直に話せるように
お母さんが…俺を受け止める準備ができるように
先に、気持ちを届けてくれたんだな