愛は惜しみなく与う【番外編】
ほんと、涙が止まらないや
俺ってすごい愛されてるんだな



「でもさ、俺、今すごい生きてて楽しいんだ。毎日楽しいし、勉強は嫌いだけど…みんなでバカやって…いっぱい飯くって、朝までゲームしていっぱい寝て…

そんな普通のなんともない日々がすごく楽しい。俺は……元気だよ、お母さん」


ずっと気に病んでいたとおもう

俺だってそうだから


だから俺は大丈夫だって伝われば

俺はもう1人じゃないってわかれば


安心できるだろ?



「強くなったね」


よくがんばったね

そう言って抱きしめられた


杏にも…そう言われたな

頑張ったなって
同情や、気を使った言葉じゃなく


ただ俺の話を聞いて、頑張ったなって言ってくれたよな。俺、あれ嬉しかったよ

 
「俺今…養子縁組してもらってるんだ」

「……え?」

「……戸籍上どうなってるかは分からないけど、俺、あの男のところに居るのが嫌で…てゆうかもう殺されかけてて……そこを拾ってもらったんだ」


そう言うととても悲しそうな顔をした。
いや、そうだよな。自分の息子があの後ひどい仕打ちを受け続け、殺されかけたなんて…聞きたくないよな


でも杏は全てを話せと言うんだよな?

全部話せってことだよな?


お母さんに、受け止めろって言ってくれたんだよな?

別に受け止めなくてもいい

ただ知ってほしい
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