愛は惜しみなく与う【番外編】
「かっこいいんだ。泉も杏も。誰かを守って引っ張り上げてくれる奴らなんだ。一緒に居たら俺も強くなれるんだ。
去年の夏
俺は泉の親父さんと泉に世話になることになった。でも、忘れたわけじゃないよ。ただ…俺はきっとまだ子供で…守られなきゃ弱い立場で……泉があのくそ男から解放してくれようと、一生懸命頑張ってくれたんだ。
俺に、兄ちゃんができたんだぜ」
誇らしく思う
自分の兄になってくれた人を
「泉にも会って欲しい」
話せた、か?
なんか俺が話すと色々抜けてそうだけどさ。話せたよ
汚い部分も、どうしようもない部分も
元気に生きてこられた部分も
ずっと涙を流してうんうんと頷いて話を聞いてくれた。
そうだよ。お母さんは、話を聞くのが上手なんだ。だからずっと、小さい頃は俺が話してたよな。
「離婚は、してないの?」
聞いていいのか分からなかったけど
「……できてないね。でも、お母さん、今支えてくれる人がいてね。あの自分で腹を刺した後、その人が支えてくれた。朔の住む街に来たのも…その人のおかげで…」