愛は惜しみなく与う【番外編】
「お食事は、お部屋食と個室の用意がありますが」

「あーー部屋で食べたいです!」

「かしこまりました。18時からお食事になりますので、そのお時間に用意させていただきますね」

「はーい!ありがとうございます!」


杏は鍵を受け取り、ごゆっくりと言い案内してくれた女の人は階段を降りていった。


「……」

「……?眠いん?」

「いや、違う。慣れてるなって」

「あぁ、志木と旅行よくいってたからな。でもこの旅館来てみたかってん!この旅館、CMとかでやってるねんで」

「あ、そうなの?知らなかった」


有名やのに!知らんのかい!と杏につっこまれる。テレビ…あんまり見ないからな。


「大切な人と訪れるための旅館」

「ん?」


杏は部屋の鍵穴に鍵をさして呟く



「そのCMのキャッチフレーズ。だから泉と来てみたいなって思ったねん」


……そういうこと

嬉しすぎるだろ


背を向ける杏の頭に顎を乗せる


「さんきゅ。」


顔を見なくても杏が微笑んだのがわかった。


俺の彼女可愛くね?
まじで。こんな可愛い生き物存在するのかよ!


杏は笑顔のまま扉を開けた
< 445 / 645 >

この作品をシェア

pagetop