愛は惜しみなく与う【番外編】
ほんと、杏はこういう奴を引きつけるのか、トラブルを引き寄せてるのか…


それなりに威圧感を出せば、舌打ちをして逃げるように去った。
観光地で騒ぐなよな、ほんと


そして杏の声がしたと思えば、杏はお湯かけられたカップルのそばに居た。


「ちょっと!一発殴ったやろな!」

「いや、殴りはしてない。脅したしもう何もしないと思うけど」


一発いったらな分からへんやつやろ、あいつは!そう杏はぷりぷり怒ってる。はいはい、落ち着こうな


「あの、すみません、巻き込んで」

「気にせんといて。濡れた以外大丈夫そ?」

「あ、はい。大丈夫です」


俺にでもわかる女のしょんぼり顔
まぁ、そりゃそうか

持ってきたタオルも濡れてしまったのか、拭くものがないらしい。この施設の人がいるだろうから聞いてこようとすると、杏はやっぱり優しい奴だった。


「あそこの手拭い屋さんのやけど、よかったら使って!足りるかな?」

「えええ!そんな!申し訳ないです!」

「えええ!使ってくれな、買った意味ないやん!!」


女の声に負けじと大きな声を出した杏は笑っていた。
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