愛は惜しみなく与う【番外編】
だからきっと

杏は許すために
信じてついてきた俺たちに示すために


もう大丈夫だと言うために


向き合おうとするんだな


「手紙さ、また泉みてよ。言いたいことあったら書き加えて。届くか分からんけど、届くように頑張るし」


人生をねじ曲げた人物を
許す強さ


「愛おしくて仕方がないよ」


どこまでも真っ直ぐな彼女を


「会ったこと教えてくれてありがとう。あたしの代わりに会ってくれてありがとう。泉は……あたしを守りに行ってくれたんやな」


そう呟く杏は、俺の胸に飛び込んで来た



言わないだけで、ずっと考えてただろうな。

如月財閥が潰れた事を志木さんに聞いた。それも、杏がまだ向こうにいる間の……色々対応している時だったと。


何度も頭を下げにくるサトルの両親に

胸が痛んだことも


杏は悔しそうに言ったそうだ


誰かの人生を狂わせてしまった、と


自分の未来を守るための行動は、どこかの誰かの…そして多くの人の人生を狂わせてしまったと。


もしかしたら誰かが杏を恨むかも。許せないと言う奴が出てくるかもしれない。

それでも前を向かなきゃいけない
< 465 / 645 >

この作品をシェア

pagetop