愛は惜しみなく与う【番外編】
「俺は男だよ。それに…好きな女と2人で旅行にきてる。俺は杏の全てを見たいし、触れたいと思ってる。全部欲しいんだ」


でも杏の事が一番大事だから


嫌がることも怖がらせることもしたくない。


杏の気持ちに反することをしたくないんだ。


優しい顔でそう言う泉に対して、あたしは固まってしまった。



「勢いで手を出したくない。だからあんま煽んないで。可愛すぎるのも難儀だな」



ぽんぽんと頭に触れて、泉は一本だけ吸うわとタバコを持ってベランダの方へ歩いて行った。


あたしは何で言えへんかったんやろう

あまりにも優しい顔をして言うから、何も言えなかった。


嫌じゃないよって
受け止めれるよって

言えばよかったのに


歩いて行った泉の後ろ姿が少し寂しくて



あかんな、あたしも

まだまだやわ

キスせーへんなって思ってたけど、そんな葛藤してるなんて知らんかった。


ここで甘えて、何事もなかったかのように今から過ごす?


ノンノンノン!!!!



杏様を舐めるなよ!!!!



泉が遠慮するならあたしから、手をだせばいいんやな!!任せろ!それなりにネットと友達から学んだ!


おかしな方向へ進んでるように見えるけど、あたしは…本気や


全部…あげるよ

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