愛は惜しみなく与う【番外編】
もう俺、20か…

一本吸いきるその前に


ガチャリと音が鳴る


露天風呂は部屋のテラスに設置されている。テラスへの入り口

杏がこちらを覗いている


あれ?遅かったかな。そんなに長いこと吸ってた気はしないんだけど。


火を消すために杏に背を向けて灰皿を探している時


背中に物凄い衝撃を感じ

声を出す間もなくバランスを崩し



露天風呂の中に頭から突っ込んだ


いや!!!死ぬ!!!!


「っぶは!!何!!」


混乱する頭
何一つ思考がまとまらずにいたところ

分かったことは一つ


杏が後ろから飛びついてきた?

いやいや、え?


今、目の前には、俺と同様、寝巻き用の浴衣を着たまま風呂に突っ込んでいる杏がいる。


何が起こった?


目を丸くして杏を見ていたと思う

タバコもどっかいったし…てゆうか水没してるし、てゆうか…服着たままだし


え?なんで一緒に風呂入ってんの?

俺は後ろから突き飛ばされたんだよな?



杏の髪から水が滴り落ちる

耳に水が入ったのか、首をトントンと傾けて頭を軽く叩き


杏は俺を見つめた
< 479 / 645 >

この作品をシェア

pagetop