愛は惜しみなく与う【番外編】
「あげる!!」


……え?

よく考えてくれ。
突然風呂に突き飛ばされることもビックリだよな。小さな露天風呂に2人で服も髪もびちょびちょのまま入っている。

訳わかんないのに


あげるって…何を?


杏は俺の襟元を掴んで強引に引き寄せる


その男前な引き寄せ方に戸惑っているときに杏は言った



「全部欲しいんやろ?あげる。あたしの全てで良ければ…あげるよ」


胸ぐらを掴まれて


俺は何を言われてるんだ?


思考が止まった



「触っていい?」

「え…」


俺の返事を聞くこともなく、襟元から直接肌に手を滑らせる杏


ちょっと、待って!



「杏!!待って…待ってよ」



杏の全てが欲しいとは言ったけど。
怖くないのか?
俺は傷つけてしまいそうで少し離れたんだ。気持ちが抑えられないから。

なのになんで


「煽るなって言ったろ」


「……泉が欲しいゆうたんやん」


「…っちが!いや、違わないけど。どういうことか分かってんの?」


杏の両肩に手を置く


浴衣が濡れて肌に張り付き

杏の身体のラインがくっきりと浮かび上がっている
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