愛は惜しみなく与う【番外編】
だから昨日は意地悪はしなかったよ。


「風呂入るし、覗かんといてや!」

「……フリ?」

「フリちゃうねん!覗けの裏返しの覗くなちゃうねん!」


ふふ。朝からキレッキレだな。
わかったよ

いつかお風呂も一緒に入ってくれる時が来るんだろうか。

嬉しさが勝って自分の恥ずかしさは殆どないからありがたい。


すると部屋に内線がかかってくる


「もしもし」

『おはようございます。朝食は別会場で準備しておりますので、8時半までにお越しください』

「あ、わかりました。ありがとうございます」


別会場か

なんだ
必死に掃除したのに

ま、起きてあの状態じゃ、杏が目も合わせてくれないかもしれないからな。片付けておいてよかったよ。


杏は怒ってても可愛いから本当に困る。


そういえば、杏は長風呂だ。朝飯までに上がってこない可能性がある。

そう思って声をかけに行こうとすると、ちょうど風呂からあがった杏とばったり……



「お、お願いだから殴るな。わざとじゃない」


バスタオルをもってものすごい速さで殴ろうとしてくる杏の手を止める。

そうやすやすと烈火の総長が殴られてたまるかよ。
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