愛は惜しみなく与う【番外編】
「覗くなゆうた!」

「覗いてない!朝飯まで時間ないからって声をかけようとしただけ!」


ち、力が強いな。ほんとどこにこんな力があるんだ?あんなに細かったのに…


「今やらしいこと考えたやろ!」

「え?」

「にやってした!」

「それは…ごめん」

ちょっと思い返して想像したから、素直に謝っておく。

でもいつまでも照れられたら俺も寂しいし。


「あんまり照れて俺を突き放さないで。寂しいから」

「……だって」

「うん」

「どんな顔したらいいかわからんし。思い出したら恥ずかしいし」

「でも俺は、昨日杏と気持ちを確かめ合えて幸せだったよ」


はぁ〜と長いため息をつく杏


「あたしも幸せやったよ。ちょっと過敏になってたわ。ごめんね」


こうやって素直に謝ってくれる杏が好き。
だから俺も素直に気持ちを伝えようと思えるんだ。


「キスしていい?」

「…うん、ええよ」


杏をバスタオルで包んだままキスをする。昨日数えきれないほどキスをしたけど、今日するのは初めてだから新鮮に思える。
< 517 / 645 >

この作品をシェア

pagetop