愛は惜しみなく与う【番外編】
あ、別に杏を馬鹿にしてるわけじゃありませんよ?私からすれば逞しくて頼りになる女性です。

泉からすれば守るべき存在なだけで。


「これからは、私は皐月を守るために生きるのに」


ボソリと思っていたことが口から出た。

思わず出た言葉に手で口を覆う。
ちょっと…

恥ずかしい


「え?どういう…こと?」


ホテルのエレベーター
2人しか乗ってないエレベーターで、聞き間違いじゃないですか?なんて言えない!


「……はぁ。本当に貴方はいつも、私のペースを乱す」


隣で不安そうな顔をしている皐月の髪に触れる

別れ話?馬鹿にしてるんですかね。ちょっと怒りたくもなりましたよ。

どれだけ好きか伝わらないんですかね



「あ、新?…きゃ!」

「私は…貴方に出会うまでは泉の為に生きようと思ってた。大袈裟に聞こえますが、私は泉に救われたので。
彼のために彼のそばで、同じ目標を掲げて同じ時を過ごしたかった。
泉は別にいらないと言いますけどね。私の自己満です。私が泉に尽くしたかった。それだけです」


皐月には、話してませんでしたね。
私が奴隷のように情報を集めていたときの話なんて……

泉しかしらない
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