愛は惜しみなく与う【番外編】
朔も響も慧も…

杏も


昔泉に救われたとだけしか伝えていない。家族もろともお世話になっていたと。

詳しく話していない



「初めて泉に逆らった日、私は皐月を助けるために、加古の所へ行きました。あの日初めて、1人で行くなと言った泉の意見を無視して、1人で行きました」


「新?」


「別れ話なんてしませんよ。逆に皐月がするのなら、私は聞きたくありません」


「ま、待って?ごめん。不安だっただけで…」


「何がどう不安ですか?」


柔らかい布団に沈む皐月は、照れて戸惑って…忙しい顔をしている。

何年経っても愛おしいのに。


「私は…皐月を自分のものにしたいと思ったあの日から、好きな気持ちは変わりませんよ。加古に殴られながらも、耐えれば皐月が自分のものになるのなら……そう思ってたあの頃のなんら変わりません」


言葉が少ないのはわかってる

慧みたく優しく甘く伝えることも

泉みたく真っ直ぐ愛することも


私は苦手だ


だから私なりに考えていた




「卒業したら、一緒に住みましょう。皐月の御両親に挨拶する前に言うのもどうかと思って時期を見ていましたが。少しでも不安がなくなるなら、寂しいと思う時間が減るのなら、私と同棲を考えてください」
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