愛は惜しみなく与う【番外編】
こんな状況でドキドキしてしまうあたしは、馬鹿なのかな。


そして卒業したら一緒に住もうと言ってくれた。まずは親に挨拶してから話したかったから順番は逆になってしまったが。

私はそう考えてる

そう言ってくれた

漠然と新の行く大学の近くに住もうかなって思ってた。

同棲は嫌がるのかな?とも思ってた。


なのに

新がそう思ってくれてたなんて初めて知った。


「毎日会えるわけではないのに、喧嘩をしてる時間なんて勿体無いでしょ」

「それは…そうだけど」

「手短に、私の話をします。泉しか詳しく知りませんし、そんなにいい話でもないです。ただ貴方には聞いて欲しい」


そう言ってポツリポツリと新は話してくれた。幼い頃の話を。

お父さんと弟のために、ある怖いヤクザに囚われの身となり、違法アクセスで情報を抜き、手伝っていた時期があること。

そしてほぼ監禁状態のときに、蕪木先輩が助けてくれたこと。

そのあと蕪木先輩のお家にお世話になり、地元を少し離れ、ほとぼりが冷めるまで待ったこと。


こっちに戻ってきて蕪木先輩に尽くすと決めて烈火で過ごしたことも。
大事な仲間ができて、今の新が出来上がったことも。


そして


あたしに出会った
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