愛は惜しみなく与う【番外編】
「旅行は楽しかったですか?」

「え?あぁ、のんびりできたで。旅館もええところやったわ」

「そうですか。なら良かったです」


……何も聞いて来ない志木が不気味やけど、聞かれないにこしてた事はない。

せやし、とりあえず黙っておこう。


「杏様、今回は何の用事で?」

「え?あぁ、まぁ卒業してからのこととか?話したくて。志木とお母様と」

「あ、そうなんですね」


なぜか少しだけびっくりしたような顔をする志木。なんや?あたしが進路考えてたら変なんか?


ジーッと見てあると、穴が開くと志木に言われた。



「てっきり、卒業したら結婚するのかと思ってました」


結婚?

卒業したら?



「働かなあかんやん」

「いや、貴方、東堂財閥の娘ですよ?お金なんて指を鳴らせば用意されますよ」


……それはちゃうやろ。


「泉だって、お金持ちですし、貴方達がお金の心配をする事なんてないでしょう」


そうかな?
でも心配なるよ。ちゃんと自分で稼ぎたいし……うーん

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