愛は惜しみなく与う【番外編】
「太ったのは志木のせいだからね!」

「貴方が覚えが悪くなかなか進まないから、ずっと座学なんです」

「ひどい!!志木の教え方が悪いんでしょ!?」


なんとなく分かった。
きっと色々勉強させられてるんやろうな。まぁ高校も途中で行ってないから勉強も追いつかへんし、東堂の仕事についても覚えなあかん事あるし。

ずっと部屋に監禁されてたのは想像つく。


「これだから甘ったれは嫌いです」

「お姉ちゃん!」


鈴はあたしになら守ってもらえると思ったのか、志木を睨みながらあたしの後ろに隠れた。


「杏様、いいんですか?」

「いやいや、あたしまだなんも言ってないやん」

なんのいいんですか?や。
とりあえず、懐かれるのは可愛いから後ろに隠してあげよう。


「志木ったら、ずっとネチネチ言ってくるの」

「それに関しては今更やろ。志木は誰に対してもねちこい」

「杏様?悪口ですか?」

「いや?事実」

ネチネチしてるもん。

鈴はぎゅーっとあたしの腰に抱きついている。家の中まで抱っこしてくれとか言われたらどうしよ。

まぁ鈴くらいなら持って歩けるか。


「おい、さっさと杏から離れろ」

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