愛は惜しみなく与う【番外編】
「お母様、今日お姉ちゃんと泉さんが来るの楽しみにしてたんだよ!」

「そうなんや。よかった」


ケーキ冷やしといてと言うと、鈴は笑って元気よく家の中へ。


「別世界みたい」

思っていたことが口から漏れる。
いやさ?まぁここは紛れもなくあたしの家っちゃ家やねんけど。
今までと違い過ぎてさ。


「……ゆっくり慣れよう。杏が頑張ったからこうなってるんだから」


暑いし入れてもらう。泉は志木の後ろについて家の中に。

泉って凄いよな。緊張とかせんのかな。
東堂財閥の方は久しぶりやろうに、普通にお邪魔しますって言いながら入っていった。


「杏様、杏様のご友人も。遠いところお越しいただきありがとうございます」


おお…懐かしいな、この感じ。
昔はこんな感じで言われてた。玄関から入ればな。
あたしは窓から入ってたから、こんなの言われたの久しぶり。

でも


「そんなんあたしにはええよ。たまに帰ってくるだけやし」

「あと俺はご友人じゃない」

「いや、そこどーでもええやろ」

良くない!友達とは違う!と拗ねながら泉は応接間に歩いて行った。
< 599 / 645 >

この作品をシェア

pagetop