愛は惜しみなく与う【番外編】

「泉って、元からあんな感じなのか、杏様と付き合ったことで少しおかしくなったのかどっちだと思います?」

志木におかしい言われたら終わりな気もするけど、泉もだいぶおかしい。


「あたしがおかしくしてるなら、困ったもんやわ」


とは言いつつ口元は緩む。
付き合ってどれくらい経ったやろ?数ヶ月経ったけど、未だに泉は自分が彼氏だと言いたがる。

可愛いしええけど。

噂は広まらに広まり、街中は正直歩きにくい。

そしてそれは、関西でもそうだった。


「もし出かけるなら気をつけてくださいね。薔薇の総長復活って噂がずーっと流れているので。あなたのお顔を知ってる奴らは仕掛けてくるかもしれません」


だそうです。
喧嘩も負ける気せんけど、面倒やねんな。弱いのに時間取られたら。

そんなことを思いながら久しぶりの応接間に。


ここは……サトルが如月冬馬だと知った場所。半年前のことやけど、鮮明やわ。

びっくりしたよな。
婚約者の如月冬馬やと思ってた奴が、サトルやった時。心臓が止まった。冗談抜きで多分止まった。


人は驚き過ぎたら本当に一瞬固まる。
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