愛は惜しみなく与う【番外編】
あたしが頭のおかしいDV野郎みたいやん!
傷つけた後に優しくするってな。そんなんちゃう!

「でも杏からキスしてくれるんだもんな。すごい世界になったもんだ」

「何ゆうてんの?」


訳のわからんことを言い出したから放置して監視カメラを探す。 
一通り見たけどなさそうやな。志木も流石に怒られると思ったんやな。


「無かった?」

「うん、大丈夫」


そう言うと安心したのか側まで泉は寄ってくる。ピタリとくっついて離れない。
あたしの前だけこんな感じかと思えば、人がいても割と甘えモードにはいる泉が心配。


「これ以上、ファンはいらんのに」


ベッドに腰をかければ隣に座る泉。
ファンなぁ。ええけどさ?ええねんけど……きっとこんな甘々の泉みたら、もっとファンが沸いてくる。


「ファン?」

「泉のこと好きな女の子達」

「……ヤキモチ?」

「うん。ちょっとな」


素直にそう言うと思ってなかったのか、嘘!と驚いて喜んでいる。


「こんなに杏が好きなのに!他のやつが入る隙間なんてない」

「わぁ!!」


何故あたしは押し倒されてるんや。


「抵抗しないでよ」
< 609 / 645 >

この作品をシェア

pagetop