愛は惜しみなく与う【番外編】
少し響先輩に聞いたことがある。
杏さんは、何か色々抱え込んで、トラブルに巻き込まれていたと。

それは解決したらしいんだけどね


杏さんは人のことは敏感なのに、自分のことになると途端に無頓着らしい。
この短い間でも、それが分かったくらいだ。


「泉、どんな顔しとった?」


眉が下がる杏さん


「すごく…泣きそうな顔してたよ」


響先輩がそういうと、杏さんは鞄を掴んで立ち上がる


「えみりちゃん、響、ごめん!!あたし泉のところ行く!!」


もう店から出て外へ行ってしまった蕪木先輩を杏さんは追った。

その後ろ姿を響先輩が、微笑ましそうに見ていた。


「お二人は…付き合ってなかったんですね」


てっきり噂もそうだし、何度か街で見かけたことがあったけど…付き合ってるものだと思ってた。


「な!俺も思う!」


ニカっと響先輩は笑って、デザート食べようと言ってくれた。
結局杏さんにも会えて、いまこうして響先輩と2人でデザート食べて…

デートじゃん!!と心の中で思う



「なんかさ、泉に昔付き纏ってた女がいて、そいつが杏にちょっかい出してきたんだ。いつもならきっと気にしないんだろうけど、色々言われたみたい」

そう、なんだ

すごく逞しく見えたけど、そりゃ嫌なこと言われたら、モヤモヤするよね。
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