愛は惜しみなく与う【番外編】
なに、それ


「隣町ってあれじゃない?最近ずっと工事してたところ。なんかでっかい建物できるんだなって…前みんなで言ってた…」


「うわ!ほんまや!絶対それや!」

隣町に、でかいビルが建つなぁってみんなで思ってたんや。
え、そこなら、普通に専門学校とも近いよな?





「お母さんに感謝だな」

「!!やんな!そうやんな!嬉しい」

ついつい泉に抱きついた。
嬉しい、ほんまに。
こんなあたしがしてもらってええんかな。


「有り難く受けとろう。杏がいなけりゃ、その関東支店も出せないし、こっちの会社も潰れただろうし、お母さんなりの御礼だろ」


御礼の規模ちゃうけど。

でも、未来が明るくなった。


「親父もお袋も喜ぶ。近くにいれば…会えるって言ってた」


うるっときてしまった。
泉以外の人も、あたしが離れたら寂しがってくれるんやもんな。そうやんな。

未だに信じられなくてソワソワするけど、目の前に残された紙には、事業計画書も添付されている。

ほんまなんや


すご


「俺も頑張るよ。お母さんのおかげで杏と離れずに済んだから。必ず幸せにするよ」
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