愛は惜しみなく与う【番外編】
「えみりは、初恋とかの記憶ある?」

「は、初恋ですか?」

まさか響先輩にそんなこと聞かれるとは思わず、テンパる。
初恋なんて、友達のお兄ちゃんだけど…


「初恋って忘れられないの?初めての人って特別だって言われたらしくてさ、杏が。杏は多分泉のこと好きなのをしっかりまだ自覚してなくて…漠然とモヤモヤしてるんだと思う」

えっと
初めての人と初恋は違うんじゃないの?

あ、響先輩ってこういうところで天然なんだ!可愛い!突っ込めない!


「泉はあんなに杏が好きなのにさ、杏は全然気付いてねーの。鈍いを通り越してるけどさ。俺は恋愛って興味なかったけど、2人を見てると、すげーなって思う」


もぐもぐデザートを食べながら響先輩が話してくれる。
あの2人を見て…そう思ったんだ


「泉を変えてくれてのは杏だし、杏を救ったのは泉だし……さっさとくっつけばいいのにね。でも動き出した杏は止めれないから、案外すぐくっつきそう」


響先輩がここまで言うんだ。
あの2人はきっと、幸せになるべきなんだ。


あたしも…少し夢を見ていいですか?
こうやって話してくれるのは、少し特別だと思っていいですか?

いつか


すごいと思う恋愛を、あたしとしてくれますか?


……なんてね


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