愛は惜しみなく与う【番外編】
どの距離感が正しいのか分からない。

本能のままだと俺は手を繋ぐんじゃなく杏を抱っこして歩きたいレベルだ。

本当に難しいな。


「なーなー!あたしこの前DVDでた映画みたい」

思い出した!と杏は声を出した。
日頃は朔と響がゲームでテレビを独占しているから、なかなかタイミングが掴めず見れていないという。


「どんな映画?」

「うーーーん。サスペンスアクション的な!」

なんとも杏が好きそうな感じ。
まったりするにはいいな。

そして何故か杏の希望により、今俺はラブホテルを検索させられている。どんな状況だよ……


「皐月ちゃんがな?めちゃスイーツも美味しいってゆうててん!」

目的がよくわからないけど、佐野がどうやらオススメしたらしく、杏はなんもないビジネスホテルに行くくらいならそっちがいいと言った。

で、検索する俺の携帯を隣で見ている。


やれやれ


そして見つけたのは、バリ風と書かれたホテルだった。


「おおお!すごい!これや!」


行きしに借りたDVDをもってご機嫌な様子。なんだか杏に行きたいと言われたら、健全なホテルに思えてきた。


「なぁ、人がおるで?」

「みたいだな」


俺も詳しくないから分からないけど。杏は前に新と俺と3人で行ったホテルとは違うからそう言ってるんだと思う。
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