愛は惜しみなく与う【番外編】
「してくるやろなー思ってた!」

「え?」

「泉そろそろしたいやろなって」


キャッキャと元気に笑いながらそんなことを言う。ベッドから投げ出した足をパタパタさせている。

そろそろしたい?

「顔に出てた?」


俺ってそんなに顔に出るのかな?みんなには態度によく出ると言われるけど、キスしたそうな顔ってどんな顔?すごくダサそう。
そう思ったけど何やら違ったらしい。


「んーん!あたしもそろそろしたいなって思ってたから!!」


だから、泉も同じ気持ちやと思ってた!
と杏は俺の腕を引いて隣に座らせた。

困ったな


「映画もうちょっと後からでも良い?」

「え?どしたん?」

「くっつきたい」


そう言って隣に座る杏を膝の上に乗せてそのままベッドに寝転がった。
案の定、体勢を崩して俺になだれ込んでくる杏。


「わぁ」

「映画みてても良いから、俺は杏に触ってても良い?」

「そんなん映画みれへんやん!」

「見ててもいいよ?」


杏の顔をテレビの方に向けて後ろから寝転がったまま抱っこをする。
身体に力がはいったままの杏は少しだけアタフタしだした。

ここで本気で抵抗されると流石の俺でも厳しいから……これくらいの抵抗なら優しい方だ。
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