愛は惜しみなく与う【番外編】
そのまま杏は両手を肩からずらして俺の頬に添えた
「こっちの方が、キスしてる泉の顔見えるな」
…………やば
一瞬理性飛んだ
いや、飛びかけてたけど
いまほんと消え去るところだった
「キスして欲しかったら、目瞑ってみ?」
なんだ
杏ってSなの?
これでちょっと喜ぶ俺は、やばいのか?
俺の上に乗って、強気な笑顔でそう言う杏は、ちょっと才能ありすぎるだろ。
馬鹿だからさ、俺
素直に目を閉じた
キスして欲しいし
「だいすきやで」
耳元でそう聞こえて今度はこっちが跳ねた
キスじゃない!!!
「いやーーまじこれ以上したら酸欠なって気絶するしもうあかん!」
は?
いつもの調子に戻る杏
ズルい!
「今のはズルい」
「何がズルいねん!えらい力で固定してたの泉やろ!」
たしかに
杏は力が通常よりも強いから、それなりの力で押さえつけていた部分はあるけど。
だからちょっと疲れたけど
「寒い」
「ホテル泊まって帰る?」
「しばくで」
ふふ
可愛い
いいよ、まだまだこれから時間はあるから
「帰ろっか」
そう言えば杏から手を伸ばしてきた