お嬢様と秘密の恋を
奏多が必死で言うも、「しつこいぞ!別れろと言ったら別れろ!」と愛華の父親から殴られる。鈍い痛みが奏多の頬に走り、口の中を切ってしまったのか血の味が広がった。

「奏多くん!」

愛華が泣きながら奏多に駆け寄ろうとするが、父親に腕を掴まれてしまったため、駆け寄れない。

「早く出て行け!」

奏多は父親に怒鳴られ、母親から睨まれ、愛華の涙を見ながら家を追い出されてしまう。バタンと大きなドアが閉まって静寂が奏多の心をさらに傷付けた。

「そんな……」

奏多はゆっくりと歩き出す。愛華はきっと自分といない方が遊んで暮らせる。しかし、愛華への想いを捨てようと思えなかった。それはきっと、奏多にとって愛華が心から愛する人になっていたからだ。

「愛ってきっと消せないよな」

そして高校生の頃、愛華が言っていた言葉を思い出す。自分の恋をジュリエットのような悲劇にしたくないということを……。

そのことを電話で奏多が伝えると、愛華は涙を流して「私も同じ気持ち」と言ってくれた。そして、夜に二人は会うようになったのだ。
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