小さな勇気
学校に到着すると、教室へ向かった。



『1年A組』



この扉の先が、私の学びの場。

私は、扉に手をかけ、ゆっくりとスライドさせる。

教室に足を踏み入れる。

私は、思わず瞬きをしてしまった。


ここは……。どこか異世界ですか?


教室には、カラフルな生徒であふれていた。

厳密には、髪の毛が色鮮やか。

赤、紫、オレンジ、青、緑、金色……。

茶色い髪の毛の生徒もいる。

よく見れば、耳も装飾されていて。

何個付けているのか、数えたくなるほどピアスを付けている人もいる。

流行の最先端であろう服を着ている人たち。

メイクもバッチリ。髪型もバッチリ。

完璧すぎる姿に、私は足元に目を落とした。


クラスメイトの中で、自分が1番劣っている、と感じた。

黒髪の生徒は私だけ。

メイクも私にしては上出来、というだけ。

私服だって、流行をひとつも取り入れていない。

髪型だって、少し巻いただけのポニーテール。

アクセサリーなんて、何ひとつ付けていない。


学校に着くまでは、私も人並みのお洒落をしていると思っていた。

けれど、上には上がいて。

その上には、もっと上がいて。


このクラスの中で、1番地味で目立たないのは、私だと悟ってしまった。
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