小さな勇気
黒板に貼ってある座席表を確認して、自分の席に座る。

改めて教室を見渡せば、既にグループ化されていて話しかけることが出来ない。

男女混ざったグループもあれば、ふんわり可愛い女の子たちが集まったグループもある。

お洒落な男子だけのグループや、元気すぎるくらいのグループもある。

ひとりで席に座っているのって、私だけじゃ……。


この瞬間。

私の描いていた専門学生生活と、友達を作る夢は終わったな、と確信した。

それでも、人間は簡単には諦められないもので。

いつか、自分の描いていたものが叶う日は来ると、心のどこかで願ってしまう。

私は席を立ち、更衣室へ向かう。

クラスメイトとの『差』を感じた洋服に手をかけ、半袖Tシャツと長ズボンの動きやすい制服に着替える。


朝、一生懸命選んだ洋服は弱々しく見えた。
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