小さな勇気
日を重ねるごとに、『たったひとり分』『されどひとり人分』の席を探す意味が分からなくなる。

だったら、お昼ご飯なんて食べないほうがいい。

そう思って日々を過ごしていく。

涙もあふれてしまうんだから、しょうがないじゃない。

女子トイレにこもって、静かに泣く。

泣き腫らした目を隠しつつも教室に入る。


こういうときにだけ声をかけてくる無神経なクラスメイト。


『大丈夫?』なんて聞くなら、私の居場所を消さないでよ。

その『大丈夫?』も挨拶程度でしかないんでしょ。

だったら、話しかけないで。


そんなことは言えず。

『大丈夫! ありがとう!』なんて、明るく振舞うしかない。

その度に締め付けられる心が悲鳴を上げていることに、私は気づきたくない。
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