夜空を見上げて、君を想う。
満月
「おっはよー。」
次の日、いつもの笑顔で俺に挨拶をする堀田。
「はよ。」
普段通りに接するものの、堀田のことに関しては停滞しているままだった。
しかし今日、堀田を気にかけて3日目にして展開を迎える。
「あ、あれからね!春日の家に突撃して一緒にオムライス食べたんだぁ、おいしかったー!今日もお昼ご飯はね、オムライスなの!」
「よかったな。」
「うん!はやくお昼ご飯にならないかなぁ」
「そういえば、俺も昨日の夕飯はオムライスだったよ。」
「え、そうなの?偶然〜。」
「俺もびっくり。」
昨日のオムライスはソーセージじゃなくて挽肉にして食べたとか、春日とこんな会話をして盛り上がったとかいう他愛もない会話を2人でしていたら朝のチャイムが鳴った。
「やば、英語の教科書忘れちゃった。」
そう呟く堀田の声が聞こえたのは4時間目が始まる5分前だった。
英語は宿題があったため、きっとそのまま家に置いてきたのだろう。
「まじ?貸すよ。」
「いや、あんたも使えなくなるじゃん。」
「じゃあ、席くっつければいいよ。」
「大丈夫、春日のとこ行ってくる!」
と、春日の教室に向かおうと堀田が立ち上がった瞬間、見事に4時間目を告げるチャイムが鳴った。
「あちゃー…やっぱり見せてください。」
「ふっ、おう。」
すぐに諦めて着席し、教科書を貸してくれと頼む姿に思わず笑ってしまった俺を堀田が指摘する。
「あ!月斗が笑った。」
俺は滅多に声を出して笑う人ではないので、それを珍しく思ったのか堀田がわざわざ言ってくる。
「だってお前おもしろいんだよ。」
「はっ!?どこが!」
「お前は知らなくていーの。」
「感じ悪っ」
堀田の百面相がおもしろくてまだ笑っていたが、その間に堀田はちょっと不貞腐れながらも机をくっつけて、くっついた二つの机の上に俺は教科書を広げる。
先生も到着し、すぐに宿題の答え合わせが始まって授業が開始した。