夜空を見上げて、君を想う。
何年か前のこと




中高一貫校というのに、中学一年生の夏休み前にして俺は不安を募らせていた。













『おまえ、なに睨んでんだよ!』



中学一年生の時、俺はいわゆるいじめられっ子だった。



決して睨んでいるわけではない、視界がぼんやりして見えにくいんだ。




『なにあいつ』

『きもちわる』

『前髪じゃますぎだろ』




そう言ってきたやつらは今でこそ大人しくなったが小学校上がりたてのただの餓鬼だったからそういうのをおもしろがるやつらもその時は何人かいた。



そして当時の俺はというと、小さい時から人一倍に人目を気にした結果、自分の周りで起こっている世界を前髪でシャットダウンしていた。


その結果、視力も悪くなりたまに前髪から覗く目を見られては睨まれているように思われクラスであっという間に孤立していった。










夜になってもそいつらが呟く声が聞こえて、他人の目を気にする俺にとっては眠れない日々も続いた。



< 38 / 56 >

この作品をシェア

pagetop