HEAVEN's Door
「楽しかったよ、ありがとう」

夕暮れ時に学校前に着いた。

拓海くんに言われてあたしは首を横に振る。

「あ…」

拓海くんは空を見上げる。

あたしも一緒になって見上げる。

「そろそろ、行かなくっちゃ…」

「どこに行くの?」

思わず聞いてしまった。

拓海くんは微笑んでいるだけで、何も答えない。

「行っちゃあ、嫌だ」

拓海くんの腕を掴んで驚く。

細い身体なのに、しっかりと筋肉がついていた。

「睦海…」

あたしはその瞬間、拓海くんに抱きしめられた。
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