HEAVEN's Door
「…図書館の隅に」

拓海くんはあたしの耳元で囁いた。

「睦海のおじいさんが昔、書いた1冊の本がある」

あたしは顔を上げると拓海くんは微笑んでいた。

「それ、僕が勝手に置いた本だから。
家に持って帰ってくれる?」

あたしは頷く。

「ありがとう…」

拓海くんはそう言うと頬に伝う涙を掌で拭いてくれて

「…泣き虫なのはママにそっくりだね」

そう言って苦笑いをしていた。
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