HEAVEN's Door
「しばらく、目を閉じててくれる?」

あたしは頷いて拓海くんの腕の中で目を閉じた。

温かい…

そして優しい温もり。



「いいよ、って言ったら目を開けてね?」

あたしは頷く。



「睦海、愛してるよ。
ママやパパ、祥太郎や光によろしく伝えて」



一瞬、風があたし達の間を吹き抜けたかと思うと



「いいよ!」



その瞬間、目を開けたけど。



もうそこには拓海くんも。

拓海くんのバイクもなかった。
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