お空へ、お見送り
「莉乃、もう朝よ」
ママの声がした。
目を開けると、いつものママの顔だった。
さっき、見上げたら水色の空だったけど今は真っ白な天井。
きれいに咲いていたお花も、今は1輪もない。
そして、ムーだっていなかった。
「おはよう、莉乃」
「おはよう」
わたしは、いつも通り朝ごはんを食べてランドセルを背負う。
お姉ちゃんは、部活があるのでもう家にはいなかった。
「莉乃、ムーに行ってきますって言いに行こう!」
わたしよりも、学校に行く準備をはやく終わらせた弟が言った。
そんな弟に、わたしはにっこりした。
「そうだね」
わたしと弟は、横に並んでムーの写真に向かって、こう言ってから手を合わせた。
「行ってきます!」