パトリツィア・ホテル
| 第一章 指名
「ねぇ、咲(さき)。あんた、いつまで黒髪してんの?
私達も、もう高校生なんだし。
そんなんじゃ、周りに乗り遅れちゃうよ」
高校の新生活の初日。
中学からの腐れ縁の朱里(あかり)が、私の黒髪を手で持ってパラパラと落とした。
中学の時には私と同じ……混じり気一つない黒髪だったその髪は、もうすっかり茶色に染まってしまっていて。
所謂『お洒落な』女子高生達に、すっかり馴染んでしまっている。
「私は周りに流されない主義なの」
私がすっと目を瞑って毅然とそう言うと、朱里は苦笑いした。
「あぁもう、あんたには『高校デビュー』なんて言葉は無関係ね」
「高校デビュー?」
「そっ!」
怪訝な目を向ける私に、朱里はパチっと片目を瞑った。
「だって、勉強ばかりしている芋っぽい女子学生なんて、もうたくさん。せっかく、彩林館高校に入ったんだから。いっぱいお洒落して、いっぱい遊ばなきゃ!」
朱里はそう言って、新しくできたらしい友人達……茶髪に厚化粧、ピアスやマスカラなんかをした、所謂、『今時の』お洒落な女子高生達の中へ入って行った。
「人って……変わるんだなぁ」
いや、私が変わらなさすぎるだけなのかも知れない……
私はふぅって溜息をついた。
「ねぇ、咲(さき)。あんた、いつまで黒髪してんの?
私達も、もう高校生なんだし。
そんなんじゃ、周りに乗り遅れちゃうよ」
高校の新生活の初日。
中学からの腐れ縁の朱里(あかり)が、私の黒髪を手で持ってパラパラと落とした。
中学の時には私と同じ……混じり気一つない黒髪だったその髪は、もうすっかり茶色に染まってしまっていて。
所謂『お洒落な』女子高生達に、すっかり馴染んでしまっている。
「私は周りに流されない主義なの」
私がすっと目を瞑って毅然とそう言うと、朱里は苦笑いした。
「あぁもう、あんたには『高校デビュー』なんて言葉は無関係ね」
「高校デビュー?」
「そっ!」
怪訝な目を向ける私に、朱里はパチっと片目を瞑った。
「だって、勉強ばかりしている芋っぽい女子学生なんて、もうたくさん。せっかく、彩林館高校に入ったんだから。いっぱいお洒落して、いっぱい遊ばなきゃ!」
朱里はそう言って、新しくできたらしい友人達……茶髪に厚化粧、ピアスやマスカラなんかをした、所謂、『今時の』お洒落な女子高生達の中へ入って行った。
「人って……変わるんだなぁ」
いや、私が変わらなさすぎるだけなのかも知れない……
私はふぅって溜息をついた。