此処は最果て
「お前、いくつ」
「15」
「…三つ下。中学生?」
「セイイエス。この春からめちゃんこ幸せな学生生活謳歌予定だったんだよ、まともに学校行ってなかったかんね、受験に備えて、それがまさかのこれだよ」
「お前、なんで解放宣言出されたか知ってる」
「おれは環境問題説が濃厚かなとは思ってる」
そもそも地球解放宣言の起源はどっかのノーベル科学賞だかなんだかを取った研究者が地球に押し寄せる環境問題を懸念したことから始まった。
それまで再三注意喚起していた地球温暖化の影響を遥かに上回る今後の地球への害悪を辿ると、その根底は人類にあった。そんなのは地球におれたち人類が生まれてしまった時から地球にとっては弊害で、それを何度となく見て見ぬフリして外堀だけを適当に舐めていた環境省が見直しを徹底し、いよいよ自分たちにスポットライトをあてたのだ。
地球が地球として世界に名を残すため。
人類がいなくなったら名も何もなくねとは思うけど、この広い宇宙のたった一つの惑星が消えたとて、例えば違う惑星では日本で言う北海道消えたわくらいの感覚にしかならないのかもしれない。あ、いや北海道には語弊があるけど一つの国がなくなる、それ程度のことって概念だったとして。
終わらせられる前に終わらせる。
そんな無鉄砲に、世界中の首相が賛同した。
と言うのが解放宣言の〝環境問題説〟であり、その他にも諸説ある。テレビのニュースで話題になったときはこれが一番濃厚だったけど、今じゃネットやSNSで虚偽の説が浮上していて、どれが本当かわからない。
ただ地球を終わらせるために禿げた爺さんが編み出した人工衛星からの核爆弾投下のプランはまるで映画の世界みたいで、予行練習と称して北極に投下された時、命が絶命する中継は人間以外の害悪はこの世に存在しないというたった一つしかわからなかった。
邪魔なのは人類だ。生まれ落ちたのはおれたちだ。
こんなに全てを生み出せる可能性を秘めているのに。
「勝手に生み出して終わらせようなんて、何様だって話だよ」