カタブツ御曹司と懐妊疑惑の初夜~一夜を共にしたら、猛愛本能が目覚めました~
なにもなかったふりをして仕事をこなし、残業をする予定の隼世さんを置いて先に帰宅した。
近藤さんに聞きたいことがある。
すべての真相を聞いて安心したい。
だって、やっぱりおかしいもの。妊娠していると誤解していたなんてあるわけない。
ただ単に平凡な社員との結婚に賛成できない斗真さんが都合よくでっち上げたのではないか。
一応駐車場を確認したが近藤さんは本当に迎えに来なくなったため、急いでマンションへ戻る。
合鍵のカードキーで中へ入り、ビジネスカジュアルのままリビングまで一直線に向かった。
「近藤さん」
「ああ、星野様。おかえりなさいませ」
彼女はアイランドキッチンにいて、鍋の中のシチューをお玉で小皿に移し、味見をしているところだった。
小さく「いい感じ」と感想をつぶやいた後、いつまでも動かない私にやっと「どうしたんです?」と首をかしげる。