カタブツ御曹司と懐妊疑惑の初夜~一夜を共にしたら、猛愛本能が目覚めました~

「……近藤さん。ちょっと聞きたいことがあるんだけど」

「いいですが、長くなります? 私、もうすぐ契約終了の時間なんですが」

「いや、大事な話だから今夜は残業してくれないか」

俺の真剣な目に彼女は怪訝そうに眉を寄せ、「はあ」と了承の返事をし、キッチンを片付けてから俺のそばへやって来た。そしてソファの横に立ち、「なんです?」と促す。

「菜々花さんの件だよ。彼女、妊娠していると俺が誤解していたことを知っていたんだが。……近藤さん、話した?」

「いいえ。でも、たしかにそういう誤解があったかと星野様から聞かれましたね」

「……え?」

「ちゃんと〝私からはお答えできない〟とお返事しましたよ。誤解のことは隼世さんから口止めされていましたから」

正直、それではイエスと答えているようなものだが、問題はそこではない。

「菜々花さんは近藤さんに話す前から知っていたということ? どうして。どこで誰から知ったんだろう」

「ああ、それなら、星野様は斗真さんから聞いたとおっしゃっていましたよ」

「は?」

斗真? なんでいきなりアイツが出てくる。
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