カタブツ御曹司と懐妊疑惑の初夜~一夜を共にしたら、猛愛本能が目覚めました~
そうと決まれば早い方がいいはずだと立ち上がり、近藤さんに「今から菜々花さんと話し合うからお茶を淹れてもらえる?」と指示を出す。
しかし彼女は「今から?」と聞き返してきたため、俺は眉をひそめてうなずく。
「ああ。今、部屋に呼びに行ってくる」
彼女はさらに、首をかしげた。
「星野様なら、いませんよ」
「……なに?」
「先ほど私が帰ってきたのと同じタイミングで、玄関からキャリーバッグを持って出ていかれましたよ」
近藤さんはそう言って、カカシのように玄関の方向を指差した。
「はあ!?」
同じ方向を見てすぐに叫んだ俺は、体が勝手にそちらへ駆け出し、彼女の部屋のドアノブに手を掛ける。強い力で引くと当然鍵は掛かっておらず、彼女の姿はなくなっていた。
いつかと同じく、ベッド際のサイドチェストに小さなメモが残されている。