カタブツ御曹司と懐妊疑惑の初夜~一夜を共にしたら、猛愛本能が目覚めました~

『……わ、悪かったよ、兄貴。とにかく星野さんには、身の振り方をよく考えるよう伝えただけさ』

「嘘をつくな。部屋を出て行ったんだぞ。彼女を脅すようなことを言ったんだろう」

『ハハハッ! ほんと星野さんってちゃっかりしてる子なんだな。僕はね、兄貴から手を引くなら別の御曹司を紹介してやると提案したんだ』

なっ……!

『わかった? 彼女は別に、兄貴じゃなくてもいいんだよ』

心臓がバクバクとうるさく鳴り出した。
心では、そんな話は信じない、彼女から直接事情を聞くまでは決めつけるものかと抵抗するのだが、俺は彼女がすでに別の男を探し始めていると想像しただけで、腹の中がひっくり返るくらいに煮えたぎった。

頭が真っ白になり、そばに木刀があったら振り回していたのではというほど体の奥の雄々しい感情が暴れている。
< 169 / 228 >

この作品をシェア

pagetop