カタブツ御曹司と懐妊疑惑の初夜~一夜を共にしたら、猛愛本能が目覚めました~
『と、いうわけだよ兄貴。僕からひとつアドバイスすると、機嫌を損ねた女にアタックし続けるのはナンセンスだ。時間を置いて落ち着かせるのが定石さ。オーケー?』
「うるさい! 黙れ! 二度と菜々花さんに関わるな!」
感情的な自分を抑えられなくなり、怒りとともに通話を切った。肩で息をしてどうにか斗真の言葉を長そうとしても、腹の中はどんどん熱くなるばかり。
なんとか頭だけは冷静になり、菜々花さんとのメッセージ画面へ戻る。変わらず返事は来ていない。
俺は新たに、【月曜日は会社に来れそうですか?】とメッセージを送った。彼女は仕事の話であれば、無視をしないはず。読みは当たり、【はい】と返事が来た。ホッとした。俺はまだ彼女と繋がっている。
本当は休みである明日明後日にでも彼女のアパートに出向きたいが、斗真の『時間を置いて落ち着かせるのが定石』という言葉が拭えず、結局その通りにしようとしている。
【わかりました。では、月曜に】
今はなにを言っても信じてもらえない。時間を置こう。月曜になれば仕事で顔を合わせるのだから、必ず話ができるはずだ。