カタブツ御曹司と懐妊疑惑の初夜~一夜を共にしたら、猛愛本能が目覚めました~
忘れられなくて
休みが明け、月曜の午前九時。
私は大宮にある埼玉支社へ、エリア統括課、エリアマネージャー付き秘書として初出勤をしている。
会社の内部システムで確認してみると、どうやら総務部からの出向扱いになっていて、交通費変更届や係替え報告書など、簡単な書類にサインをするだけで異動が完了した。
本社の半分以下である三階建ての埼玉支社は、エリア営業や店舗管理など地区の中枢機能を担っており、若冠二十六歳の御曹司である斗真さんはここで現場統括について修行中なのだとか。
出社して早々、六畳ほどのマネージャー用の個室に呼ばれると、デスクには斗真さんが偉そうに座っていた。
「どう? 昨日はよく眠れた?」
彼は回る椅子で左右にくるくる揺れながら、私に問いかける。彼は隣にある私のらしき簡素なデスクに荷物を置くよう指で示し、私はそれに従いながら、「おかげさまで」とつぶやいた。