カタブツ御曹司と懐妊疑惑の初夜~一夜を共にしたら、猛愛本能が目覚めました~

席に着き、エリアマネージャーとしての仕事のマニュアルを貰い、秘書としてどう振る舞うかを考える。今まで秘書がいなかったのなら正直いらないはず、このポストも無理矢理作ったのだろう。

「午後から店舗の視察に付き合ってもらう」

「はい」

与えられたPCで、とりあえずスケジュールを作る。
私宛に部長から【がんばってね】とフランクなメールが来ていて、異動の事実は休み中に部長にだけ知らされていたのかと納得する。部長には丁寧なメールを返した。

ついでに急遽抜けたことを謝罪するメールを作り、総務部へ一括送信する。隼世さんも、パートさんたちと同じく一括の欄にくくった。

引き継ぎも挨拶もない、こんな非常識なやり方があるかと心苦しくはあるが、正直、もうどうでもいい。
常識知らずとパートさんに罵られようが、隼世さんに幻滅されようが、人生最大の失恋をした私に取り繕いたいものはなにもなかった。
< 173 / 228 >

この作品をシェア

pagetop