カタブツ御曹司と懐妊疑惑の初夜~一夜を共にしたら、猛愛本能が目覚めました~
「そんな怒るなって。こっちは正当な手続きを踏んでいるんだから文句は言えないはずだ。え? ああ、星野さんだって納得済みさ」
そうだ。納得している。というか、こうでもしないと失恋した相手と同じ職場で仕事なんてできやしない。
「代わりの人員の補充には時間を貰うが、そっちにはたくさんパートさんがいるだろ。うまく使って穴埋めしてくれ。それが兄貴の仕事だろう?」
さらなる怒号が電話口から聞こえているが、斗真さんは楽しそうに通話を切った。そして、笑みを浮かべたまま私に視線をやる。
「さぁて。僕たちも楽しく仕事をしようか」
なにもおかしなことは言っていないが、その裏のありそうな号令にゾッと背筋が冷たくなり、ゴクンと喉が鳴った。