カタブツ御曹司と懐妊疑惑の初夜~一夜を共にしたら、猛愛本能が目覚めました~
「全然、気づきませんでした。……星野さんが、病気だったなんて」
予想を通り越し、心底心配だという声を出され、両手で手を握られる。
「か、課長、でも大丈夫です」
気が変わって九割は良性ですからとすぐに白状しようとしたのだが、距離の近さで頭が働かず、言葉が出てこない。
「会社を休んだほうがいいんじゃないですか。治療に集中して。仕事は俺が全部なんとかするから」
まだ検査の段階なのに、話が大きくなりすぎている。酔った状態の彼に話した私が悪いけど。
きちんと説明しなければ。
ああ、でも、こんなに心配してくれるなんて思っていなくて、今は胸がいっぱいだ。
「なんでも相談して。星野さん。俺はあなたがーー」
押し倒されるのではないかというほど迫られベッドに背中がつきそうになったが、彼は言葉の途中で「うっ」と吐き気に見舞われ、口を押さえる。
私も慌ててサイドチェストへ後ろ手を伸ばし、木製のティッシュケースを丸ごと彼の顔の前へ「どうぞ!」と差し出した。