カタブツ御曹司と懐妊疑惑の初夜~一夜を共にしたら、猛愛本能が目覚めました~
今週はそのせいで仕事に集中できず、胃も痛む。痛いのは胃なのに、私はつい無意識に卵巣があるあたりの下腹部をさすっていた。
情けないことに、不安で吐き気も出ている。本当に私は病気というものに弱いのだ。
ガンなら早く治療を開始したいのに、私の気持ちは病院に伝わっている気がしない。
この病気がいつから発症しているかもわからないのに、私はこうして無意味に焦っている。
休憩時間を終えて、オフィスに戻った。
課長の横を通るとき、ちらりと視線を向けられた気がし、会釈をする。
しかし通り過ぎようとしたところ、
「……具合が悪いんですか?」
と尋ねられ、驚いて足を止める。
課長は少し疎いところがあるから気づかれないと思っていたのに、バレてしまうなんて。
病気への不安でメンタルが崩れているとは言えず、私は「大丈夫です」と精一杯の笑顔を作って答えた。