身代わり依頼は死人 桜門へ ~死人の終わらない恋~
普通に話をする桜門だが、文月は違った。
桜門の行動や言葉に、最近ドキドキしてばなりなのだ。恋人未満という言葉。あれは、どういう意味で言ったのだろうか。
桜門はきっと「身代わり依頼の助手」と伝えるだろうと思っていたので、予想外だった。しかも、それはよく言う「友達以上、恋人未満」というものなのだろうか。
恋人という言葉を出しているのは………?
文月は、恥ずかしさから桜門を見ることが出来なかったが、白銀と話しているならば大丈夫だろうと彼を盗み見よう、顔をあげた。
すると、バチンッと視線が合ってしまう。
桜門はとても優しい笑みを浮かべてこちらを見ていたのだ。いつもと同じようでいて、どこか違うように思うのは、文月の頭の中で勝手に変換されているからなのか。
「あー……本当に俺の話を聞く気あるのか?そこのお2人さんよ」
「す、すみません!」
「身代わりをするとは限らないけどな」
「はいはい。わかりましたよ」
白銀は、そう言うと頭をかきながら、歯を見せてにっこりと笑った。
「あと2.3日で俺は死ぬ。だから、ドールを動かしてくれ。時間がないんだ」
笑っていた白銀だが、最後の言葉を言い終わる頃には、真剣な表情に戻っていた。
そして、深く深く地面に頭がついてしまいそうなほど、頭を下げたのだった。