身代わり依頼は死人 桜門へ ~死人の終わらない恋~
「………AIドール、スミレ、起動しました。最優先事項をドール、ツボミの修復、メンテナンス。実行してもよろしいですか?」
「やったっ!!」
「………し、信じられない。どうして」
「すごい、いいままでこんな事なかったのに」
「白銀さん。こんなプレゼントをのこしていくなんて、ツボミよかったな」
スミレの起動で、皆は奇跡に歓喜し、白銀の愛したツボミの復活を喜んだ。
文月は、すぐに桜門の方を見る。
すると、桜門はその場で笑っていた。
が、それは身代わりが成功しスミレの起動を喜んでいるわけではない。いつもの優しい笑みではなかった。
自分の手を見つめ、くくくっと低い声で笑っていた。
「ようやくだ・・・ようやく俺はッ。ふふふふ、ははははははっ」
スミレの起動を喜んでいる社員とは別に、文月は桜門の異変に、彼から目が離せない。
桜門は、恍惚にも見える笑みを浮かべて、笑い続けた。
が、それは長続きはしなかった。
彼の異変はそれだけで終わってしまったからだ。