身代わり依頼は死人 桜門へ ~死人の終わらない恋~
やりたい仕事など、自分でもわからない。
自分にできることを必死にやるだけなのだ。
小さい頃の願いは「病気が治る事」だった文月とって、今生きている目標を失ってしまっていたのだ。
そんな時に自分の前に現れた桜門。
そして、死んでもなお、人々に求められる彼の姿に憧れを抱いたのは確かだ。そして、助手として選んでくれた事に初めて自分だけの役割をもらえてようで、嬉しかった。
「仕事もしていない。両親には苦労させられる。そして、恋人もいない。それならば、身代わりの仕事をしてもいいだろう」
けれど、それも違ったのだ。
桜門の言葉は、文月の心を締め付けてくる。
「桜門さんは、私に優しくしてくれたり助手にしてくれたのは。私を身代わりの仕事をさせるためだったって事ですか?」
「………」
言葉がないというのか肯定なのだろう。
あぁ。そうか。
自分だけが桜門に惚れてしまっただけ。
桜門はただ自分に仕事をさせたくて近づいたのだ。
悲しくないといったら嘘になる。
けれど、桜門の役に立てる。
ならば答えは1つだけだった。